映画の中でハウルが言います。
「面白い人だなと思って…僕から近づいていった…」
これをどう捉えるかはさまざまですが、付き合っていたというとにわかには信じられません。
しかし、それを裏付ける短編映画が作られています。
それが、ジブリ美術館にある映画館でのみ上映される短編映画の中にある「星をかった日」です。
「星をかった日」
上映時間:約16分
原作:井上直久「イバラード」より
脚本・監督:宮崎 駿
声:ノナ:神木隆之介、ニーニャ:鈴木京香、スコッペロ:若山弦蔵、メーキンソー:大泉洋
音楽:都留教博・中村由利子
ストーリーは、
人々の時間の使い方を監督する時間局から逃れる為に都会の家を飛び出した主人公の少年ノナは、ある田舎で不思議な女性ニーニャと出会い、彼女の農園で新しい生活を始める。ある日、モグラとカエルの姿をした謎の行商人スコッペロとメーキンソーと出会ったノナは、自分の育てたカブを、彼らの売り物である小さな星の種と交換する…。
この映画が、若き日のハウルと荒地の魔女のお話だというのです。
そして、ハウルの童貞を奪ったのが若き日の荒地の魔女だというのです。
それについて語られたものが、2012年にニコ生で放送された「押井守ブロマガ開始記念!世界の半分を怒らせる生放送」での鈴木敏夫さんと押井守さんが対談です(以下のやりとり)。
鈴木:あれ見た? 『星をかった日』って。
押井:星をかった日?
鈴木:見てない? 美術館でやってるやつ。
押井:うん。
鈴木:じゃあ、今度見せますね。
サイドストーリーを珍しくやったのよ、宮さんが。で、ハウルの少年時代。それで、一言で言うと、そこに若き日の、美しかった荒地の魔女が登場。
押井:あぁ、それはたぶん面白いと思うよ。
鈴木:で、簡単に言うと、ハウルの童貞を奪った彼女が……いい話になったんですよ。
押井:宮さん、本質的に短編が絶対上手いから。
なんと、本当でした。
もともと、「星をかった日」は、画家で絵本作家の井上直久さんの作った「イバラード」という世界を元にして作られた作品です。
宮崎監督と井上さんのふたりが話していた時に、井上さんが次回作の絵本(星をかった日)のことを話しを聞いて、宮崎さんが発想を膨らませてしまった…ようです。
この時、井上さんは、主人公を女の子と考えていましたが、宮崎さんは男の子と思い込んでしまいます。そしてこの設定をお互い譲らなかったと言います。
井上直久さんといえば…
『耳をすませば』中の挿話「バロンのくれた物語」の背景画を制作や
三鷹の森ジブリ美術館メインホール壁画制作をされた方です。
その後、「星をかった日」は動きを見せませんでしたが、2年後、「ハウルの動く城」の制作が終わった時、宮崎さんの中で動き始めます。
その時の話を宮崎さんが語っています(以下)。
2年ほど経って「ハウルの動く城」の仕事が終わったとたん、スタジオに隙間が出来ました。美術館の映画を作るチャンスです。ぼくは大いそぎで-といってもずいぶん時間がかかりましたが-井上さんに内緒で、勝手に絵コンテを作ってしまいました。もちろん、男の子を主人公にして。
それから、鈴木プロデューサーに、井上さんの元へ絵コンテを持っていってもらいました。さいわい井上さんが喜んでくれたから良いようなもので、一寸ルール違反のところがぼくにはあるかもしれません。
しかし、井上さんのマンガと絵本の構想が、種になって時間がたつうちにひとりでに芽が出てしまい、ぼくにもどうすることもできない葉を茂らせてしまったのだと思います。こうして『星をかった日』の映画は始まりました。
確かに、ルール違反ぽいですね。
そして、井上さんも独自の「星をかった日」を書き上げています。
・星をかった日/Amazon
https://www.amazon.co.jp/星をかった日-井上-直久/dp/4877521399
そんなことで、ハウルと荒地の魔女のサイドストーリーは、本当にあったのですね。
ジブリ美術館の短編映画の中にこんな裏設定があったとは驚きました。