キキが苦労して、ニシンのパイ焼きを手伝い、雨の中をせっかく届けたのに、受け取った女の子は「アタシこのパイ嫌いなのよね…」とつれない態度…このシーンにがっかりした人は多いと思いますが、宮崎さんがこのシーンについて語っています。
…女の子はなぜあんなに冷たいのか?
老婦人のパイを届けた時に、女の子から冷たくあしらわれてしまうわけですけど、宅急便の仕事をするというのは、ああいう目にあうことなんですから。特にひどい目にあったわけじゃあなくてね、ああいうことを経験するのが仕事なんです。
キキはあそこで自分の甘さを思い知らされたんです。当然、感謝してくれるだろうと思い込んでいたのが……。違うんですよ。お金をもらったから運ばなきゃいけないんです。もし、そこでいい人に出会えたなら、それは幸せなことだと思わなくちゃ……。僕らだって宅急便のおじさんが来た時に「大変ですねぇ、まあ上がってお茶でもどうぞ」なんて、いちいち言わないじゃないですか(笑)。
だから、僕はあのパーティの女の子が出てきた時のしゃべり方が気に入ってますけどね。あれは嘘をついていない、正直な言い方ですよ。本当にいやなんですよ、要らないっていうのに、またおばあちゃんが料理を送ってきて、みたいな。ああいうことは世間にはよくあることでしょ。それがあの場合、キキにとってはショッキングで、すごくダメージになることかもしれないけど、そうやって呑み下していかなければいけないことも、この世の中にはいっぱいあるわけですから。
なるほど、確かにそうですね。映画だとキキに感情移入してしまうので、受け取った女の子にも「わーありがとう」って言ってもらいたいですが、実際の世界ではあんなものかもしれません。それよりも、キキが仕事をするということはどういうことか?そっちを描こうとした時は、こういうことの方が多いでしょう。これがリアルなんでしょうね。
この話を聞いて私もこのシーンがちょっと好きになりました。