千と千尋の神隠しの前にボツになった映画企画が2つあったそうです。そのひとつが「煙突描きのリン」という企画。
これは、宮崎駿発案の企画で、大震災後の東京を舞台に、お風呂屋さんの煙突に絵を描くリンという名の20歳の女の子が主人公。
女の子はある陰謀に巻き込まれて、大騒動が起こる。その相手方のボスが60歳のおじさん。敵対するうちにリンとボスが恋に落ちる…。
しかも、ボスというのは宮崎さんを投影したキャラだったそう。
この企画内容を聞いた鈴木敏夫は、どうしたものか…と困ったそう。
一年後、宮崎さんは「煙突描きのリン」の企画を進めていて、大量のイメージボードを書き上げていた。
そんな時鈴木さんは偶然、「踊る大捜査線 THE MOVIE」をみてびっくりする。当時の若者の気分、物の見方、行動パターンが見事に表現されていた。
その時「煙突描きのリン」のことが脳裏に浮かんだ。還暦間近の宮崎がリアルな20歳の女の子を描くことができるんだろうか?と。
鈴木さんは、すぐに「踊る捜査線」の話を宮崎さんにすると、宮崎さんは、壁に貼られた大量のイメージボードを剥がしてゴミ箱に捨てた。
「この企画はだめだってことだろ?鈴木さん」と言ったという。
そして、いきなりこう言った。「千晶の映画をやろうか」
千晶というのは、日本テレビの映画部でジブリの担当をしている奥田さんの10歳の娘のこと。
さらに、舞台は「江戸東京たてもの園」だという。
可愛がっている千晶と鈴木の大好きな「江戸東京たてもの園」を持ち出されたら反対はできない。
一年越しの企画をあっさり捨て、ものの5分で新しい企画を考える…
これが「千と千尋の神隠し」が始まった瞬間だったそうです。